犬の問題行動について|犬の気持ちで考えよう

私たちのもとに寄せられる犬の「問題行慟」でもっとも多かった相談が『噛み付く』といった攻撃関連の問題です。

骨っている犬が小さいころからよく家族に咬みついていた-¥この子はそういう犬種だから」「この子わがままなのよ」と笑っていた飼い主も、「ご近所さんを咬んでしまった」とか、「病院に行って紅0針も縫うはめになった」となって初めて、事の重大さに気がつくことになります。

 

ほとんどの飼い主は、最初は問題とも思っていなかった畠来事を、他人を巻き込んだり、自分で解決できないと気がついたとき、初めて問題行動として認識するのかもしれません。これは「犬の問題行動」ではなくて「人間の問題行動」といえなくもありません。なぜなら犬が育った環境、飼い主が犬に対してとってきた行動を犬の目線で見たとき、それは「当然の結果」であり、その原因をつくったのは、ほとんどの場合、飼い主である人間の責任だからです。

問題行動は放っておいても悪化するだけ

忘れないでいただきたいのは、問題行動は「放っておけばなくなる」ことはほとんどないということです。「まだ子犬だから」「大きくなったら落ち着くよ」―こういった理由で放っておいても、問題行動はなくなるどころかさらに悪化します。そして悪化していく問題行動にどう対処すればいいか話しあう相手もいないまま、しつけ本を読みあさり、自分で試行錯誤してさらに悪化するという悪循環が起こってしまうのです。

マナーです

犬が、人間社会の中で生きていくうえで、最低限のマナーを守り、他人に迷惑をかけないこ10とは大切なことです。そしてそのマナーを犬に教えてあげられるのは、私たち飼い主自身なのです。

 

犬の気持ちになって考えよう

犬の身になって考える私たちにとっては問題行動ととれるものも、犬にとってはあたり前の行動である場合が多いのです。犬自身が恐怖を感じれば、自分の身を守るために咬みつくだろうし、吠えることでなにか自分にメリットがあれば、犬はその行動を繰り返すでしょう。

だから、問題行動が起こっているからといってやみくもに犬を罵倒せず、まず自分たち飼い主がとっている行動を見直してください。そして犬の気持ちになって考えてください。犬は理由もなく問題行動を繰り返しません。そこにはきっとなにか原因や犬たちからのメッセージがあります。

犬の問題行動は病気ではない

犬の問題行動は病気ではありません。対処が早ければ早いほど改善しやすいし、これから何年も犬と暮らしていくことを考えれば、放置しないことでその残りの時間が苦しみから楽しみに変わることは間違いありません。私たちが犬の問題行動を取り扱うとき、「EMRA※テクニック」というものを用います。これは、のちにくわしく解説しますが、問題行動をとる犬の情動(Emotion)、犬のムード(気分、Mood)、犬がその問題行動を繰りかえす、つまり強化(Reinforcement)する原因を診断(Assessment)する方法です。犬の問題行動の原因がたった1つということは少なく、さまざまな原因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。本書を読み進めていくうちに、それがなぜなのか見えてくるでしょう。